nidi gallery
exhibition
今村文個展
「となりの庭」
2020.8.21 fri – 9.3 thu
nidi gallery 企画展
会期
period
2020年8月21日(金) – 9月3日(木)
開廊時間 12:00 – 19:00
休廊日 水曜日 (8月26日、9月2日)
2020.8.21 fri – 9.3 thu
open 12 – 7pm
closed on wednesday(8.26, 9.2)
nidi galleryでは初となる画家・今村文の個展を開催いたします。花や植物を主なモチーフとし、半透明のグラシン紙に貼り付けた切り絵による水彩画や、着色した蜜蝋を溶かし、漆喰に焼き付けるエンコスティック(蜜蝋画)を制作している今村文。押し花や標本などを彷彿とさせる作品はどこか懐かしく、儚げでいとおしさを感じます。
私たちは花を目にするとき、華やかな花の部分に視線を注ぎがちですが、彼女は地中に広がる根っこや小さな虫たちにも意識を寄せ、その存在について考察します。豊かな想像力、また繊細な感受性と芯の強さによって生み出された作品は、私たちに多くのことを語りかけ、新しい景色を見せてくれるように思います。
あいちトリエンナーレなどの美術館展示、新進アーティストの公募展「第13回 shiseido art egg」(2019年)に入賞と、ますます活躍の場を広げる今村文の最新作をぜひこの機会にご覧くださいませ。
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[庭について]
私は庭について考えます。作品を作ること、展示をすること、それぞれは庭を作る事に似ている。と思うからです。また私は庭を可変な個人であり、それぞれで境界を意識することであると考えます。庭という意識は他者との境界であり、とても強固なものです。庭を作ることよって私は自己を知り、他者と関係する。しかし、多くの苦しみは庭というその境界がある事によっても生まれていると感じます。身体は近くにあってもその人のことを遠くに感じることがあります。また、会ったことも無いのに、その人のことを自分の内側に感じることがあります。遠いのに近い、近いのに遠い。ということがある。その距離はお互いに同じではないけれど、なんとなくそこが境界になっている。
庭というのは意識です。どんなに私が庭として囲ったとしても、そこに住む植物や虫には境界などは無い。隣あって咲く花は意識の境界によって隔てられてはいるが、自分の庭の花は隣にも咲き、隣の花を飛んでいた虫もやってくる。花や虫が庭を越えて行き交うほど、境界は曖昧になってゆくのではないだろうか。花や虫を庭という意識が創造する現象であるとしたなら。想像して創造しなければ、庭には花も咲かず、虫も飛ばない。他者と私は相互に同じではない。私は他者にはなれないし、他者は私の心を知ることはできない。その当たり前のことを、受け入れ、想像することがコミュニケーションなのではないかと思います。庭の境界は、無くすことはできないけれども可変であり、共有することもできる。「人間の真実の生活とは、常にただこの個の対立の生活の中に存る」と安吾は言います。
私は理解したい。相互不理解だとしても、他者を理解したいと願います。庭という境界を曖昧にすること。花や虫によって常に干渉し合うこと。それは他者との境界を越える為の一つのコミュニケーションではないだろうか。私は庭で花を育てて虫を呼びたい。例え独りよがりでも、理解するために。私の庭の花は全部あなたのものでもあるのだ。
今村文
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【新型コロナウイルス感染予防ご協力のお願い】
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・ギャラリー内が混雑した場合(6名以上)、入場制限をさせていただくことがございます。外でお待ちいただくか、状況によっては、時間指定整理券を配布します。外でお待ちの方が多くなれば、ギャラリー内での滞在時間を制限させていただきます。
・開催に関して変更等が生じた場合は、当ギャラリーのホームページとSNSにてご案内いたします。ご確認の上、お越しいただきますようお願い申し上げます。
今村文 Fumi Imamura
1982 愛知県生まれ
2008 金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コース 修了
現在、愛知県在住
[個展]
2019 『見えない庭』資生堂アートエッグ/ 資生堂ギャラリー/東京
2018 『花と蛞蝓』彗星倶楽部/金沢
2015 『見えない庭』山鬼文庫/金沢
2014 『絵という肉体を持った幻』エビスアートラボ/名古屋
2011 『音楽と沼の波紋』名古屋市市政資料館/名古屋
2009 『今村文展』木曜日/名古屋
2008 『今村文展』musee/金沢
2008 『忘却の川』彗星倶楽部/金沢
2007 『melting point』limArt/東京
[展示・グループ展等]
2020 きのふいらしってください (金沢)
2020 VOCA展2020 (上野の森美術館)
2019 交わるアート展 (安曇野市穂高交流学習センター/長野)
2019 アイチアートクロニクル (愛知県立美術館/愛知)
2018 flowing out (竹の湯/山梨)
2018 CONTACT (黒部市美術館/富山)
2017 plants planet (はじまりの美術館/福島)
2016 あいちトリエンナーレ2016 (長者町会場 八木兵6号館、喫茶クラウン/名古屋)
2015 芸術植物園 (愛知県立美術館/名古屋)
2015 豊饒なるもの 現代美術in愛知 (桜ヶ丘ミュージアム/愛知)
2012 モンブランヤングアーティストパトロネージ (モンブラン銀座本店/東京)
2012 woodlandgallery2012 (美濃加茂文化の森/岐阜)
2012 ALAproject no7今村 文(アートラボあいち/名古屋)
2011 woodlandgallery2011(美濃加茂文化の森/岐阜)
2008 Art award tokyo2008(丸の内/東京)